涙について

外来で患者さんが涙について訴えて来られる場合、当然ですが「涙がでる」か「乾く」のどちらかです。涙というのは実によく考えられたシステムです。
下の図のように、涙はまぶたの上外側に位置する涙腺(るいせん)で作られ、瞬き(まばたき)することがポンプの役割を果たし眼の中に流れ出します。瞬きには色々な効果があり、涙を涙腺から放出する以外に、たまった涙をまぶたの付け根にある涙点(るいてん)から涙道を通して鼻腔に流し出します。

風呂に例えると、瞬きすることで風呂への蛇口と底の栓が同時に開けられ、常に一定の新鮮な涙を風呂に貯め続けていると想像してもらえばよいでしょう。

涙が多い場合

涙が多く作られている

これは眼の傷や異物、炎症により涙腺が刺激されていることが多いです。角膜の傷、結膜炎、角膜・結膜異物などが原因となる病気です。

涙が流れ出ていかない

これは、涙の出て行く道筋(涙道)に狭窄や閉鎖がある場合です。通水検査をして改善する場合は軽い狭窄を疑い、水が鼻に流れて行かない場合は、鼻涙管閉塞症・狭窄症と考え必要に応じて手術を行います。近年では涙道内視鏡を用いることによって低侵襲で治療できる症例も増えてきています。

風呂の容積が少ない場合

涙が溜まれずに溢れてしまっている状態です。原因は球結膜がゆるんで涙が溜まる場所を占拠してしまうことです。加齢やドライアイによって生じ「結膜弛緩症」として認知され、状況により結膜切除を行います。当院でも施行しています。

結膜弛緩症とは?

主に眼球結膜(白目の表面)が弛緩(ゆるむ)ことにより、弛緩した結膜がしわになって下に下がる病気です。
弛緩した結膜は下まぶたとの間の涙の貯蔵庫になっていた空間を占拠してしまい、涙が貯蔵できなくなります。
その結果、涙が目から溢れてしまい、強い涙目を訴えられます。

結膜弛緩症 治療写真

正常な結膜と涙の写真

下まぶたと結膜の間に十分な涙液の層があります。
※涙を黄色く染めています

結膜弛緩症の写真

球結膜が弛緩してしわがより、貯蔵庫となる空間を占拠してしまっています。
そのため、涙の層はわずかしか形成されず、大部分の涙は外に流れて行ってしまい、涙目を引き起こします。
この涙目は、薬では治すことは不可能です。

結膜弛緩症 手術前

※1
涙はほんの少ししかたまっていません。
※2
弛緩した結膜。しわが寄って下方にずり落ち、涙のたまる空間を占拠しています。

結膜弛緩症 手術後

※1
涙の層はしっかりできてたまってます。
※2
結膜のしわはなくなりました。

手術時間は15~20分で、日帰りで可能です。
内眼手術ではないので、生活に制限は殆どありません。
目薬をいくらさしても涙が止まらない方にはこの病気の可能性があります。
お気軽にご相談ください。

涙が少ない場合

涙の量が減っている

涙の量を補うように目薬を用います。
それでも難しい時は、涙点にプラグを入れます。(風呂の栓を常にして涙が鼻に流れていかない状態、とイメージしてもらえばいいです)。
当院でも施行しています。

涙が蒸発しやすくなっている(涙の質の問題)

風呂からどんどん涙が蒸発している状態で、原因は眼の縁からでる脂分の不足です。ヒアルロン酸の点眼でかなり改善するようになりました。「普段なんともないのに、目を使う時だけ乾く、充血する」と感じる方はこれが多いです。俗に「蒸発亢進型ドライアイ」として一般的にも認知されつつあります。

殆どの場合、マイボーム腺機能不全(脂分を産生するマイボーム腺の機能が低下している状態)が原因で、脂が少ない・脂が変性してうまく涙に溶けない・脂の出口が狭い など色々なパターンがあります。遠赤外線でまぶたを暖める治療(ホット・パック)で、かなり脂の質が改善する場合があります。
当院でも積極的に行っています。

涙だからそれほど心配されない方も多くいらっしゃいます。
しかし、目を保護する涙は、とても大事な体の機能の一部なのです。
同じ症状でも色々な病態があります。お気軽に当院までご相談ください。

院長の徒然日記
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